「安定したいから成長したい」東大生がこぞってコンサル目指す、矛盾した心理をレジー氏が解説
日本の社会における働き方とキャリアの問題を解く 気鋭の著者・レジー氏インタビュー
■「目の前のことを一生懸命やる」「偶然性にオープンに」
結局、この狂った時代におけるキャリア選択の「正解」とは何なのだろうか。「これは難しいですね。最終的には人それぞれなので…」としながらレジー氏は続ける。
「『これが正解、と誰かが言っているものを警戒した方がいい』というのが唯一言えることかもしれません。結局のところ、まず目の前のことを一生懸命やることがすごく大事だと思うんですよね」
計画を立てたところで、必ずその通りにはならない。ライフステージの変化もコントロールできない部分がある。
「自分にとっての興味関心や大事なことが何なのかにアンテナを立てながら目の前のこととまじめに向き合っていると、思わぬやりがいやこだわりポイントに出会ったりします。そういう状況を見逃さないために、『偶然性にオープン』でいることを心掛ける。キャリアプランと呼ばれるものをガチガチに決めるよりも、そのくらいの構えの方が結果的にうまくいくんじゃないかなと思います」
レジー氏自身も、音楽の文章をブログで書いたらたまたまバズった。それがメディア関係者の目にとまり、雑誌で書くようになった。「狙ってバズらせてライターになってやろうとは思っていなかった」という。
「働くにあたってお金をもらうのはもちろん重要なのですが、それに何か付け加えるとすると…まず、自分はいわゆる大義名分でモチベーションが上がるタイプではないです。『社会に貢献したい』とか、『日本を元気にしたい』とか」
レジー氏が大事にしているのは「おもしろそう」という感覚だ。
「自分の好奇心を満たせるかどうか。『これをやったらおもしろそうだな』という感情が大事で、それでお金ももらえるなんてラッキー、という順番で考えています。世の中にとって意味があるかどうかとかはその先の話ですね。ただ、文章を書く仕事に限れば、ここで言う『好奇心』と『世の中にとっての意味』は重なることも結構あります」
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